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2023/11/03

2023(令和5年)11月号

202311表紙1_convert_20231103205908_convert_20231103210653
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
202311目次_convert_20231103210110
202311表3_convert_20231103210258
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20首抄(2023年10月号より抄出)

地(つち)に生き奏でるバッハ内声の中指の爪土の残れる        上田勝博
バンドを背にわが加われるコーラスは迫力ありて心に響く             及川 敬 
万華鏡の無限のかたちに憧れて魅せられながらのぞきこむとき  大垰敦子
旅に果てて印度更紗(さ)をまとうとき二重三重(ふたえみえ)なる闇ときめきぬ  大塚朋子
布ひとつ眺め眺めて夢描き裁断までの時はも長し   岡田節子
終点は北極星か「そらの北」行きのバス地上の横川を発(た)つ   岡田寿子
杉木立の下(もと)に群れいる赤水引蒼(あお)き海底に冴(さ)えいるごとし   金子貴佐子
梅雨晴れの朝(あした)の空を統ぶるごと鳶おほどかに旋回しをり   澤田久美子
母なるかはた父やもとこの朝(あした)また見つ白蝶庭を舞いゆく   鈴木敬子
像となり夜のしじまに波聞くや波と遊びていし砂たちは   高本澄江
館内のどこをG7の長は見し情報秘匿は権力の宝刀   滝沢韶一
ぽつねんとイタチはわれの真近にいて言葉かければ草垣に入る   龍野日那子
梅雨の鬱をふり払うがに大輪の朝顔盛るワインレッドに   月原芳子
散歩にと買いし麦わら帽かぶる白きリボンを夕日に見せて   中元芙美子
十数年の時経て咲ける春蘭よ卯の花の咲くもとに確かに   延近道江
夏草を引きぬく手止め聞き入りぬ微風のなかのかそけき虫の音(ね)   原 佳風
暗がりを背戸の木々はもざわめきて獣のごとき枝の動きよ   松尾美鈴
甘き香のライラック一枝偶然に友より受けぬわが誕生日   水田ヨシコ
パン粥(がゆ)を初めて口に運ぶ時娘と分かつかっての緊張  宮本京子
どの窓より見ても日本は青葉風 ゼレンスキー氏戦地へ帰る   森ひなこ