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2020/03/22

2020年(令和2年)4月号

真樹2020.4月号表紙
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏

2020年(令和2年4月号)
☆研究  □美男で裕福な人   -古典の小径133― ...外村展子
□尾上柴舟のうた229         ‥‥澤田久美子 宮﨑孝司 山本光珠  
□内面客観の道をたずねて122     ‥‥石井恵美子 大垰敦子 高本澄江 西本光仁
                          吉田ヒロミ 野坂昭雄 勝地健一 上田勝博                     
□近現代歌人の一首【蒔田さくら子】   ‥‥近藤史郎
□【異文化essay】29  solar power   ‥‥田中淳子 
□佳品嘆美*139〈万葉集〉〈斎藤茂吉〉   ‥‥山本光珠 大瀨宏
☆作品評
☆書評  □尾上兼英著『中國小説史研究序説』  ‥‥山本光珠  
□筒井早苗歌集『椿は咲きて』     ‥‥新井邦子
□和嶋勝利歌集『うたとり』      ‥‥森ひなこ
☆再録  □真樹の曙―旧号抄録154(1)(2)(3)(4)-
□他誌抄録102
☆記   □真樹サロン短歌会記 93       ...新井邦子       
□後記

山本康夫の歌―2020年(令和2年)4月号
うから率て大隅・薩摩とめぐりゆく花呼ぶ春の雨の一日を
行くところ溶岩地帯 昔より火噴きつづけし大隅・薩摩
はるばると来たりて巡る今日一日錦江湾はおおにけぶらう
みんなみの島は三月すでにして山の中にも桜まさかる
長崎鼻へ走り降りゆくそのかみの地が噴き上げし溶岩の上
天草の十三仏岬に立ちつくす果たてに大陸も見ゆる思いに

『山本康夫全歌集』(昭和六十三年刊)-大隅・薩摩(昭和五十五年作)

  20首抄(2020年3月号より抄出)
巨星墜(お)つバーミアンにはみ仏在(ま)さず非情なる弾(だん)誠を砕く  中谷美保子
夕茜(あかね)を背景にして黒く浮く竹やぶのなか雀かしまし       延近 道江
見渡せば紺碧(ぺき)の空に雲もなしこのもとをとて杖(つえ)をつきゆく  平本 律枝
中村医師死すとも用水路は生きて流れて幾万の人を養う        松井嘉壽子 
増えきたるあわ立ち草はおのが世を誇るがに立つこの荒れ畑に   松永 玲子       
葉の裏の赤きに戦禍偲(しの)ぶなりベトナム原産なる青紫木(せいしぼく)  宮﨑 孝司
縮景園のソテツにコモを巻く人よ木々への愛をその背に見せて     村上 山治
一帯をもみじは緋(ひ)色にうめつくしわれの無礼をおぎないくれぬ     吉山 法子
国ゆずりの稲佐の浜の砂を踏む今し落日海色七重           石井恵美子
「瑞穂」なる地の改名を道祖神に問う者もなく変わり果てしか     上田 勝博
背の高きクレーン二基立ち大手術するに似て炉の解体進む       上脇 立哉
乙女子にほほえみもらいお返しは周囲をはばかり笑顔で応ず      宇吹 哲夫
不足とうボルトとナットは東京へオリンピックへこぞりて進む     大越由美子
胡子堂の由来を知らぬ若宮司祝詞を終えて愛想(あいそ)よく去(い)ぬ   岡田 寿子
卒寿なる母の手いつか白くなりぬ「きれいになった」と言えばかなしき  金尾 桂子
何もなきことこそ幸と言いしこと それより私は不幸になりぬ      木村 浩子
冬至来て夜がおもむろにこれからは無くしてゆかむ優越感を       廣本 貢一
行く先も決めず連れ立つ人もなき各駅停車の旅に出(い)でたし      澤田久美子
満月に負けじと明かり放ちゆく部活帰りか夕暮れの土手        髙見 俊和
夕陽(せきよう)は炎となりてまともなるビルのガラスに今日も沈みぬ  月原 芳子


2020/03/02

2020年(令和2年)3月号

02022501_真樹2020.3月号表紙_convert_20200302153520
題字 尾上柴舟 表紙 大瀬 宏
2020年(令和2年3月号)
☆研究  □歌題の本意   -古典の小径132― ...外村展子
□尾上柴舟のうた228         ‥‥近藤史郎 岡田寿子 山本光珠  
     □内面客観の道をたずねて121  ‥‥柳原孝子 澤田久美子 村上山治 川口浩子
                       廣本貢一 上脇立哉 吉田征子 勝地健一                     
     □近現代歌人の一首【小島ゆかり】    ‥‥森ひなこ
     □短歌時評 22  「不易流行」     ‥‥宮﨑孝司 
     □佳品嘆美*138〈万葉集〉〈斎藤茂吉〉   ‥‥山本光珠 大瀨宏
☆作品評
☆書評  □大友清子歌集『すゑひろがり』    ‥‥岡田寿子
     □島 晃子歌集『天上の森』      ‥‥新井邦子
     □立木節子歌集『紡ぎし言の葉』    ‥‥岡田寿子
☆再録  □真樹の曙―旧号抄録153-
     □他誌抄録101
☆記   □ピクチャ便り♠⑫ 「真樹」を、どうぞ
□真樹サロン短歌会記 92        ...上田勝博       
     □後記

山本康夫の歌―2020年(令和2年)3月号
春霞む大和盆地を見渡して小高き草の丘に昼餉す
線彫りの釈迦の豊けき表情に千余年のかみのこころ通いく
山の辺の道ゆきゆけば纏向の弓月が岳は霧とざしたり
山の辺の道歩み来て石の上布留の宮居は蒼茫と暮る
密林の暮れづく中に石の上布留の宮居は浄く古りたり
『樹の遠景』(昭和五十四年刊)-山の辺の道(昭和四十八年作)

 20首抄(2020年2月号より抄出)
冬の日をそびら一面に浴びながら草抜くわれも神の子ならん      滝沢 韶一
ここちよく澄みたる朝(あした)しずかにも花芽ひらきて無言の主張   富田美稚子 
夕焼けにタイワンフウ映ゆ居並ぶが炎のごとく陣中のごとく      中元芙美子
のきに干すべっ甲色の柿の実よひとつひとつに秋日の魔法       廣田 怜子
ほそりゆく孤独な余生さむけれど歌を詠む時二人となりぬ       松井嘉壽子
体力のありてこそなり夢描き続けんとして険しき書道         水田ヨシコ
葉の落ちて枝影淡き庭に見る遠く黙して春を待つ山          宮﨑孝司
あの暑さあの雨のさま消えて今朝立冬を知る隠しき部屋に       村上 山治
魂をゆさぶられいぬ絶ゆるなく伝えられ来し荘厳の儀に        吉田ヒロミ
うす日さす秋の苔(こけ)道訪(と)いゆけば滝の瀬音の澄みてわれ呼ぶ   吉田 征子
床の間の名号の軸を収めつつかなしみの階一つ越したり        米田 勝恵
深み行く秋の空気を震わせて単線ジーゼル北さして行く        石井恵美子
御大礼奉祝行事の祝宴にわれも出(い)でたり遠石の宮に         岩本 淑子
秋風にラムを一杯キューバ産ハバナクラブにこころ燃やさん      大瀨  宏
「初大師」正月三日のダルマ市に人にもまれて達磨(だるま)求めつ    大垰 敦子 
脳裏をかすむ『宇宙樹』『果樹林』『音楽樹』(おんぎょうじゅ)
いま『青樹林』わが宝なり                     大津タカヱ
台風に備えよと子にメールして夢にし見たり食パンの山        岡田 寿子
九年間共に学んだ翁(おきな)なり多くは語らず秋の日西へ        岡畑 文香
負いきれぬ責任感の疎ましく吐息つきおり孤独なる時に        木村 浩子
明日とう日宙に掲げて生きんかな透徹したり今(こ)宵の月に       笹田四茂枝