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2021/09/29

2021(令和3年)10月号

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題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
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2021年(令和3年)10月号

研究 芭蕉堂良大と香畦の手紙-古典の小径150- 加藤定彦      
尾上柴舟のうた 247 上田勝博  澤田久美子  山本光珠  
内面客観の道をたずねて 山本康夫作品鑑賞 140      
                  石井恵美子 高本澄江 宮﨑孝司  近藤史郎
                  豊田敬子  森ひなこ  吉田征子  佐藤静子 
【異文化essay】40 bed of roses(安泰な暮らし)田中淳子 
[短歌時評]28 現代短歌新聞「広島県の歌人」を読む 森ひなこ
佳品嘆美*157〈万葉集〉〈宮 柊二〉山本光珠  近藤史郎 
作品評  大垰敦子  吉田ヒロミ 山本光珠  岡田寿子  月原芳子  大瀨 宏 
     濱本たつえ 新井邦子 
作品抄出 弘野礼子  柴村千織  井原弘美 
再録   真樹の曙―旧号抄録 172
真樹のうたびと 山本康夫 / 津村富枝
他誌抄録 120
恵投書架
記    後記

ご案内 -2021年10月-
真樹サロン
   日時 10月22日(日)13時
   会場 真樹社               
   会費 500円(10時来会者は不要)
   出詠 1首を担当の新井邦子へ
   締切 10月15日


山本康夫の歌

熔岩をしつらへられし浴槽に熱きいで湯のあふれこぼるる
海潟の湯よりいづれば海はるか雨あがるらし波もきらひて
湯にほてる体さますとみんなみの海に向く窓みな開け放つ
旅にさへ選歌の稿を携へて追はるる思ひわが生(よ)に尽きず
携ふる歌稿の束を選びつぎ憩ふゆとりもなき旅終る

              『槙の実』(昭和二十八年刊)──昭和二十七年──桜島

20首抄(2021年9月号より抄出)
                                 
高齢者を優先となす接種はも儒教的なる弊と言わんか        滝沢 韶一
駅舎まで一直線の街路樹の楠を見渡す今朝の梅雨入り        竹添田美子
オルゴール過ぎ去りし日をノスタルジックにコロナコロナとうたう日は何時(いつ)   月原 芳子
過ぎし日の苦しきことを青空へ両手にかかえ放てきっぱり      津田 育恵
名作を残せる式部を思わんと石山寺にわれも詣でく         中村カヨ子
年とりて独り暮らしの通院は仕方のなきを医師はほめます      平本 律枝
休みいし練習始むと竪琴(たてごと)の弦の一本一本を撫(な)ず     弘野 礼子
老いたれば誰もが独り寂しさも誰もが抱けりこれぞ人の世      古澤 和子
庭先を八羽の子燕旋回す兄弟従兄弟ふざけあいにつつ        松尾 美鈴
過去のみは完全にわがものとなる明日のことなどケセラセラなり   森重 菊江
教室ののちなる会話はずみたりわれの記憶に歌友の名増ゆ      柳原 孝子
深紅なるジューサーに果実圧搾しはじめて飲みぬ七夕の夜      山本 真珠
小走りに雨の舗道を渡り来て飛び立ちにけりせきれい白き      石井恵美子
雨の日に塵(ごみ)出すわれへ傘をさし手伝いくれしゆきずりの人    岩本 淑子
危篤知り遠方からを駆けつけしに親子の再会許されぬとは      岡田 節子
電線に胸はりて声はずませる初燕 マラソンの勝者のごとく     岡田 寿子
コロナ禍のすき間に入れる美術館「鮭図」の前に女(おみな)寄りたり    金子貴佐子
梅雨の神の荒きすさびやこのゆうべざくろの花の朱をかき乱す    黒飛 了子
充実の形に百花つけし樹(き)がわがまどろみを侵しきらめく      近藤 史郎
お祭りも盆踊りもみな中止なり世は黙り人足早に行く        隅出志乃惠
2021/09/06

2021(令和3年)9月号

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題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
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2021年(令和3年)9月号
研究 雲助志願者の日記から-古典の小径149- 加藤定彦 ・ 外村展子       
尾上柴舟のうた 246 福光譲二  岡田寿子  山本光珠  
内面客観の道をたずねて 山本康夫作品鑑賞 139      
                  大垰敦子  澤田久美子 村上山治  西本光仁                      
                  吉田ヒロミ 吉田征子  野坂昭雄  黒飛了子  
【近現代歌人の一首】41〔雨宮雅子〕近藤史郎
佳品嘆美*156〈万葉集〉〈佐伯裕子〉山本光珠 森ひなこ 
作品評   宮﨑孝司  月原芳子  山本光珠  滝沢韶一  大瀨 宏  高本澄江  
竹添田美子 大越由美子 新井邦子  上田勝博  弘野礼子
書評    岡田寿子  新井邦子
作品抄出  豊田敬子  山本全子  勝地健一
再録  真樹の曙―旧号抄録 171
真樹のうたびと 山本康夫 / 蒔田うめ
他誌抄録 119
記   真樹サロン短歌会記 110 村上山治       
    真樹誌上短歌大会ご案内
    後記

ご案内-2021年9月-
真樹サロン
   日時 9月26日(日)13時
   会場 真樹社               
   会費 500円(10時来会者は不要)
   出詠 1首を担当の新井邦子へ
   締切 9月15日

山本康夫の歌九月号
今朝がたより心覆ひてありし影つきつめみればたわいもあらぬ
かかる小さきことに心を責められてわがありたるはくやしきごとし
世に受くる衝撃はみな歌に詠み詠めば忘れてゆくぞおもしろ
はやりくる歌にはしまぬおぞ心われのまたまとひた守りつつ

               『麗雲』(昭和二十二年刊)──昭和十五年──たまたまに

20首抄(2021年8月号より抄出)
                                 
女二人いて「若緑がいいわね」と被爆柳に日傘をひきぬ       金子貴佐子
歩み来(こ)し幾星霜を省みて思い浮かぶは我陰の人         川口 浩子
ふつふつと湧く情念は明日知れぬコロナの渦に巻き込まれゆく    木村 浩子
柔らかに若葉青葉の山の色生きとし生けるものは輝く        小畑 宣之
今日よりを短歌習うはこの地ぞと心新たに降(お)りける明石     小巻由佳子
都会にて大病ストレスその果てに転地が効くと知人訪(と)い来ぬ   竹添田美子
雨に落ちし紅のバラ大皿に盛りて互いの痛み分け合う        田中 淳子
校内の柵より顏出すあじさいよ誰かとおしゃべりしたき表情     富田美稚子
白い花みどりの網目に伸びてゆく五月(さつき)の朝のジャスミン香る   西本 光仁
畑げしの茶の一本に新芽伸ぶ口つきてふと「夏も近づく」      廣田 怜子
父も祖父も年若くして堂々と大人としての相深くあり        古澤 和子
母のごと行く道正しある時は娘のように優し介護士         松井嘉壽子
鏡なす田は山の影映しいてその澄む水に稚苗並べり         松永 玲子
薬飲む作業をおえてベッドへと今夜ぐっすり朝まで寝ると      的場いく子
田植えなどしたこともなき乙(おと)の孫が田植え機に乗る写真届きぬ  守光 則子
ヘルパー欄に「昔話をよくされる」とメモありおのずと戦時に触るるを  有本 幸子
絵手紙を始めたわれにのしかかるやがて行わるる発表会の圧       宇吹 哲夫
時としてチクリとわれに主張せりアクリル製の水晶体は         榎並 幸子
紅梅の花のあかるさ鳥の声リハビリの道に心あたたむ          大津タカヱ
庭先に初団子虫現ると少年の顔で夫が告げたり             岡田 寿子