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2023/12/20

2024(令和6年)1月号

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題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
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a20241目次左_convert_20231220100424
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  20首抄(2023年12月号より抄出)

友逝きて夕べの散歩その方に入道雲が入り日をおおう  高見俊和
聖書講読と短歌作りはわが支えその深遠さ未到の道よ  滝沢韶一
オリーブの緑の木の葉は守るごと丸き実あまた風と育てぬ  中元芙美子
厚切りのトースト注文モーニング午前10時の香り確かめ  西本光仁
立ち止まり過ぎに過ぎたる時思うあれこれ背負いなお急ぐ身の  原 佳風
年月の早く過ぐるを語りつつ彼岸の中日父のみ墓へ  廣田怜子
空の上(え)で元気でいるかと骨つぼに耳当ててみる猫の命日  弘野礼子
薬効で痛みやわらぎ思考へと展(ひろ)がりてゆくベッドの中で  松井嘉壽子
子はわれにあまた助言し念を押しお盆にまたと靴べら置きぬ  水田ヨシコ
コレクション見終えて駅に向かう道坂道続く東京の道  宮本京子
蜩(かなかな)よきみより先に逝きし人の歌をまたもや口ずさみしよ  森 ひなこ
中秋の名月 満月と重なれり月かげさやけくふりそそぐ街  柳原孝子
お互いの心の中に秘しおかれよ人目にさらさば汚き不倫  吉田ヒロミ
灸(きゅう)据うる母の背中の百草(もぐさ)の火幼きナイトのごと見守りき  吉田征子
朝起きて始めの一歩は短歌詠むそれが満たされ心落ち着く  杏野なおみ
帰省子は台風の行方気にしつつ月光仮面のごと戻りゆく  大越由美子
同窓会で近況報告述ぶるわれ悔いあらずやと問う視線受く  岡田寿子
散りそむるわが魂のこの痛み風に飛ばせよ病棟の桜  勝地健一
リズムよくかわいた木の音(ね)ひびきおりキツツキいるや静(しず)宮の杜(もり)  栗原美智子
燔(はん)肉を捧げるすべもなき身なれ真昼落ち葉を焚(た)く火に寄れり  黒飛了子

2023/12/01

2023(令和5年)12月号

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題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
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a202312表3_convert_20231201100255
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     20首抄(2023年12月号より抄出)

遮光器をまとう土偶の愛らしき目線の先の暮らし生きづく   勝地健一
板の間にそうめん瓜ぬくもれりまだまだ暑き夏の夕暮れ    金尾桂子
黒き梁遺(はりのこ)せる蔵の女(おみな)出す春色だんごで休めとぞいう  金子貴佐子
旅の途にモネがキャンバスを立てて描きし奇岩にくだけるこの波のさま  川口浩子
仕事終えキャベツ抱える友の手の指輪の跡はすでに消えおり  木村浩子
七夕を明日に控えて思ひ出すシャガールの空に浮かぶ二人を   澤田久美子
去年(こぞ)逝きし佳人しのびて文箱に眠る筆跡また読み返す   竹添田美子
下駄箱に亡き夫の靴いまもなお艶保ちおり捨てられぬ奇怪  龍野日那子
料理とは言えぬものでも二人して食(は)めば笑みつつおいしさを言う  富田美稚子
子ツバメに虫やる親は朝早く順番たがわずわき目もふらず   豐田敬子
テレビ消し黙して食べる夕食にあかりを灯(とも)す虫の鳴き声   西本光仁
気が触れし人のじぐざぐ行く影よ秋風吹いて濃く薄く揺る   原 佳風
緑道の朝あおむけに蟬逝けり何一つ此(こ)をおくるものなく   村上山治
死者送り空をあふげば天空のわがメトロノームの振り子早まる   森 ひなこ
ため息をもらさんほどの喜びも悲しみもなくひと日すぎたり  森重菊江
風入れの風に覚めゆくわが生家いかにしなさん父母はたちつつ   吉田征子
海行かばの曲にはじまるラジオにて同胞たおれし記憶は消えず   石井恵美子
朝(あした)からいちずに鳴く蟬あちこちに過疎の田舎のにぎやかな夏   畦 美紀恵
江戸の世のもの移築せし「長多喜」は外国人の宣(うべ)し的とぞ   榎並幸子
人という「もの思う生」を宿したる天体ひとつ悲しかるらん   大瀬 宏