2022(令和4年)1月号

題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏

2022年(令和4年)1月号
真樹誌上短歌大会
真樹賞 森ひなこ / 康夫賞 森重菊江 / 年度賞 小巻由佳子・川口浩子
真樹賞・康夫賞・年度賞受賞者競詠
研究 平洲の講話と鷹山の藩政改革-古典の小径153- 加藤定彦
尾上柴舟のうた 250 福光譲二 岡田寿子 山本光珠
内面客観の道をたずねて 山本康夫作品鑑賞 143
大垰敦子 澤田久美子 村上山治 西本光仁
吉田ヒロミ 吉田征子 野坂昭雄 佐藤静子
【近現代歌人の一首】〔源陽子〕近藤史郎
佳品嘆美*160〈万葉集〉〈北原白秋〉山本光珠 澤田久美子
作品評 宮﨑孝司 月原芳子 山本光珠 滝沢韶一 大瀨 宏 高本澄江
大越由美子 新井邦子 上田勝博 竹添田美子 弘野礼子
書評 新井邦子 岡田寿子 森ひなこ
作品抄出 豊田敬子 山本全子 金子貴佐子
再録 真樹の曙―旧号抄録 175
真樹のうたびと 山本康夫 / 村上正名
他誌抄録 123
記 令和三年掲載歌数集計表
真樹サロン短歌会記 113 弘野礼子
後記
ご案内 -2022年1月-
真樹サロン
日時 1月21日(日)13時
会場 真樹社
会費 500円(10時来会者は不要)
出詠 1首を担当の新井邦子へ
締切 1月15日
山本康夫の歌
引き潮の刻ぞこの時幻の街の井戸枠たしかに見たり
街ありし芦田川洲の原ひろら鳥の群が草に降りいて
石垣は運河のあとか小舟など入りくるが見ゆ幻なして
千軒の庶民の街を土深く覆う河原に吹く秋の風
遠き日の町の哀歓も土深く秘めてしらじらとなびく芦の穂
街家のかまどの跡か発掘の原ひとところ土の黒ずむ
『樹の遠景』(昭和五十四年刊)──草戸千軒町跡
20首抄(2021年12月号より抄出)
スマホ手に檀家へ急ぐ僧若し法衣を風にふくらませゆく 吉田ヒロミ
姫蒲の細き葉陰に気配消しムギワラトンボしのびの脱皮 吉田 征子
ようやくに開きし花は気づかれて一つ二つともらわれてゆく 大越由美子
見えるもの見えざるもの等(ら)一堂に人とヴィルスのオリンピアードよ 大瀨 宏
秋雨の庭に倒れしコスモスを哀れむごとく白蝶の舞う 大津タカヱ
自暴自棄に陥らんとき友の声一緒にお茶を飲みませんかと 岡田 節子
疲弊した血管の悲鳴聞きいれば樹木が水を吸い上げる音 勝地 健一
吹き寄せし花と戯るる昼下がり「おごはんごっこ」思い出さるる 金子貴佐子
どこまでもあくまでも青 純粋な秋の一日(ひとひ)が心をあらう 菅 篁子
衰えの増しゆく我ら元気だと嘘ぶくことも慣れればおかし 木村 浩子
岸壁を激しく攻めて来る波をテトラボッドが許さず砕く 廣本 貢一
何を待つ草蜉蝣か芹の花に生のこもれる薄羽ひからす 近藤 史郎
蜜蜂の巣箱の下に滑走路着陸離陸する豆機たち 髙見 俊和
空青し風もよろしと飛び立つや薄の穂絮は峡(かい)の真昼に 高本 澄江
八月のその朝八時十五分ひとりひとりにあったその刻(とき) 豊田 敬子
鼓の師母の通夜(つうや)の枕べに「当麻寺(たいまじ)」のひと節たむけたまいし 中谷美保子
かって読みしヘレン・ケラーの自叙伝が思われやまずパラリンピックに 中村カヨ子
くちなしの白き花びら黄ばみたり潔癖なるものの持続は難し 中元芙美子
煌煌(こうこう)と照る満月に畏(おそ)れあり雲のかかれば心ほぐぐる 濱本たつえ
贈り主と同じ名つけしぬいぐるみ小さきクマのAlexandra(アレクサンドラ) 弘野 礼子
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