2021(令和3年)4月号

題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏

2021年(令和3年)4月号
研究 詩人広瀬旭荘の遊歴(上)-古典の小径144― 加藤定彦 ・ 外村展子
尾上柴舟のうた 241 澤田久美子 上田勝博 山本光珠
内面客観の道をたずねて 134 高本澄江 宮﨑孝司 月原芳子 近藤史郎
豊田敬子 龍野日那子 勝地健一 佐藤静子
【異文化essay】37 sea vegetables(海藻) 田中淳子
佳品嘆美*151〈万葉集〉〈結城哀草果〉 山本光珠 宮﨑孝司
作品評 宮﨑孝司 月原芳子 山本光珠 石井恵美子 大垰敦子 吉田ヒロミ
水野康幸 岡田寿子 大瀨 宏 米田勝恵 新井邦子
作品抄出 弘野礼子 柴村千織 井原弘美
再録 真樹の曙―旧号抄録 166
真樹のうたびと 山本康夫/橋本武子
他誌抄録 114
記 真樹サロン短歌会記 105 田中淳子
後記
ご案内 -2021年4月-
真樹サロン
日時 4月25日(日)10時~ 協力
13~15時 歌会
会費 500円(10時来会者は不要)
出詠 1首を担当者吉田征子へ(SMS可)
締切 4月15日
山本康夫の歌
春風のそよそよ通う木下道松の花粉の見えて散り来る
田の水のくさりてたまる一ところかたまりて黒しおたまじゃくしのとも
通りゆくわが足音にうようよとおよぎいだせりおたまじゃくしのとも
日の透る溝の底ひにうようよとむつみあひをりおたまじゃくしのとも
溝ふかく透す日射しに自が影とまぎれてうごくおたまじゃくしのとも
春の水ゆたににごりてよどみゐる溝に目高子ここだ生れぬ
『薫日』(昭和十二年刊)――季節篇――春――近郊
20首抄(2021年3月号より抄出)
冬の朝はるかに鳴らす汽笛あり期末テストは遠き幻 中元芙美子
窓よりの遠き山脈うるおえば心静かに年改まる 鍋谷 朝子
色づける銀杏の葉くわえ落としつぐ雀を見れば楽しきごとし 平本 律枝
鉄筆とガラスの面のかすかなる摩擦の音は絵に溶くるごと 水田ヨシコ
まだ乗れる自転車までも廃車にせり前へ進むは自らの脚 村上 山治
後ろめたい事はしないと言い聞かす自分が作る自分なるゆえ 吉田ヒロミ
遠き日に志士ら駆けゆく足音を風も聞きしか土佐北街道 吉田 征子
明けやらずオリオン仰ぐひとりなる我に拾えと流星は墜(お)つ 新井 邦子
山の端(は)にどっしり座る黒雲を暁光ひとすじこじ開けんとす 上田 勝博
生前の夫の施し時を経て今ひとり身のわれに注がる 岡田 節子
顏よりも大き香茸われ待てり落ち葉を分けて息をすいこむ 岡田 寿子
子供たちの作品詰めるダンボール廃棄の朝は手に触れて見る 折口 幸子
リモートの画面の母は手を伸ばしわが抱く猫をなでようとする 金尾 桂子
一天をつらぬく鵙のこえ絶えてひと谷の昼締まりくるなり 黒飛 了子
夕暮れに川沿い走るテールランプつつが無く任務終えて急ぐや 佐藤 静子
ヒロシマの記憶に生(あ)るるやさしさは共助なりしと奏者は語る 滝沢 韶一
目の前の黄なる葉どものほろほろと夕べ落つるにたたずめるあり 龍野日那子
西風(にし)凪(な)げば肥後は火の国たちまちに白い旅人地上に消える 月原 芳子
凍(い)て星に今日のひとみを感謝して玄関内に花の鉢納む 津田 育恵
霜の朝ブロッコリーに触れたれば受験生のごとピリリとしまる 豊田 敬子
- 関連記事
-
- 2021(令和3年)5月号
- 2021(令和3年)4月号
- 2021(令和3年)3月号
コメント