2018年6月号「前号20首抄」
ー20首抄(2018年5月号より抄出)ー
屋根工事の足場除きし縁にさす明るさまぶし今日は雛(ひな)の日 加川イツ子
乗り越えしあまたの苦労肴(さかな)とし酒を飲むなり竹馬の友と 小畑 宣之
鮮やかな夜具に掛布を綴(と)じてゆく白きに託(かこ)つ思いいろいろ 笹田四茂枝
明日を生くる人に交じりて交差するスクランブルを遡上のごとく 月原 芳子
春空に遊覧飛行の機を見上ぐ望んでいしや夫のありせば 津田 育恵
香気あるろう梅咲けば東洋の貴婦人の立つここちこそすれ 濱本たつえ
介護士は二人掛けもち食べさせるそのあざやかさ看護師もまた 松山八重子
展示場は込み合うもわが意欲湧く夏期書展また幸(さき)くて訪(と)わん 水田ヨシコ
遅咲きの庭の紅梅すがたよく青空のもとつぼみふくらむ 光井 良子
あけぐれの山へ傾く黄金の月に真向かう春を待つ身は 宮﨑 孝司
痛み止めのきかぬはストレス固まるか溶かしてゆかん己(おの)がことなり 森重 菊江
悲しみの最後の別れ合わす手に春の日させり心やわらぐ 矢追 房子
国境の間近なる地の平昌の冬季五輪よ平和への夢 柳原 孝子
五輪午後ボードのような枕抱きハーフパイプの谷に微睡す 山本 真珠
寒いねと人に会うごと言いきたり気づけば森にうぐいすの声 脇家登美子
鶯の鳴くを聞きしは弥生の丑(うし)山の奥よりぢき庭に来る 和田 紀元
谷崎と与謝野瀬戸内読み終えて念願の式部に今日入りたり 宇吹 哲夫
頭(ず)を下げて水路の橋を潜るとき見つけてほしい隠れんぼ思(も)う 大越由美子
ひんがしの山際赤くきらめきて初日拝(おろが)む峠に立ちて 大津タカヱ
この町に一(ひと)月住みしことがあり新婚の日々川に見惚(と)れて 岡室 英子
屋根工事の足場除きし縁にさす明るさまぶし今日は雛(ひな)の日 加川イツ子
乗り越えしあまたの苦労肴(さかな)とし酒を飲むなり竹馬の友と 小畑 宣之
鮮やかな夜具に掛布を綴(と)じてゆく白きに託(かこ)つ思いいろいろ 笹田四茂枝
明日を生くる人に交じりて交差するスクランブルを遡上のごとく 月原 芳子
春空に遊覧飛行の機を見上ぐ望んでいしや夫のありせば 津田 育恵
香気あるろう梅咲けば東洋の貴婦人の立つここちこそすれ 濱本たつえ
介護士は二人掛けもち食べさせるそのあざやかさ看護師もまた 松山八重子
展示場は込み合うもわが意欲湧く夏期書展また幸(さき)くて訪(と)わん 水田ヨシコ
遅咲きの庭の紅梅すがたよく青空のもとつぼみふくらむ 光井 良子
あけぐれの山へ傾く黄金の月に真向かう春を待つ身は 宮﨑 孝司
痛み止めのきかぬはストレス固まるか溶かしてゆかん己(おの)がことなり 森重 菊江
悲しみの最後の別れ合わす手に春の日させり心やわらぐ 矢追 房子
国境の間近なる地の平昌の冬季五輪よ平和への夢 柳原 孝子
五輪午後ボードのような枕抱きハーフパイプの谷に微睡す 山本 真珠
寒いねと人に会うごと言いきたり気づけば森にうぐいすの声 脇家登美子
鶯の鳴くを聞きしは弥生の丑(うし)山の奥よりぢき庭に来る 和田 紀元
谷崎と与謝野瀬戸内読み終えて念願の式部に今日入りたり 宇吹 哲夫
頭(ず)を下げて水路の橋を潜るとき見つけてほしい隠れんぼ思(も)う 大越由美子
ひんがしの山際赤くきらめきて初日拝(おろが)む峠に立ちて 大津タカヱ
この町に一(ひと)月住みしことがあり新婚の日々川に見惚(と)れて 岡室 英子
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