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2023/10/06

2023(令和5年)10月号

2023・10表紙_convert_20231006203343
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
2023・10目次_convert_20231006202706
2023・10表3_convert_20231006202732
2023・10表2_convert_20231006202757

20首抄(2023年9月号より抄出)

三十分止まりし市電の中にてもサミットの無事を希(ねが)いし市民   柳原 孝子
夜は青に点(とも)すdiffuser香らする精油に母の里の杉みゆ   山本 真珠
満開の花を見上げて我知らずほほえみいるをまたほほえめり    吉田ヒロミ
青嵐忌思い伝えん歌友らへ両手に庭の千草を摘めり   新井 邦子
核ボタンたずさえ動く人もあり疑心暗鬼の人の世悲し    石井恵美子
最後までの自宅介護を貫けず投げ入れられた浮き輪をつかむ    大垰 敦子
かなわねば足の指にて綴(つづ)りこし我が青春のあまたの歌よ    木村 浩子
ゆく方のひとつ嘆きや伝書鳩ひかりをひきて現(うつつ)を截(き)らん    黒飛 了子
今を生きる我らの幸を守らんとまなざし注ぐ空仰ぎ見る   隅出志乃惠
溝掃除長ぐつはいて鋤簾(じょれん)にて掬(すく)えば小亀冬眠中か   高見 俊和
在天の神ははるばる空駆けて命の基届くるならん   滝沢 韶一
内面の祖父の葛藤知る我に寄り添い訪(と)いくる肉親の愛   竹添田美子
五感のうち消滅なきは臭覚のみいよよ野生の生きみたまかな   月原 芳子
呼び出し音十五数えつつ耳澄ますひざ病む姉の受話器とるまで   豊田 敬子
諸用あり来客多き日常の今朝しとしとと春雨(しゅんう)の恵み   中谷美保子
赤色が似合うと言ってくれし歌友 そのワンピースを衣替えせり   中村カヨ子
春耕のトラクターの音あちこちに始動させたる農夫みな老ゆ   廣田 怜子
泰然と構えて今日も阿武山は夕日のなかに我と向き合う   村上 山治
あまりにもバラ美(は)しければこの中にとけ込めずいるわれを知りたり  森重 菊江
この暑気のなか朝夕を夫による野菜の手入れありて感謝す       守光 則子
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