FC2ブログ
2021/05/28

2021(令和3年)6月号

03060401_(2)表紙_convert_20210609101736
題字 尾上柴舟  表紙 大瀨 宏
03060402_(2)裏表紙_convert_20210609102359

2021年(令和3年)6月号
研究 
詩人広瀬旭荘の遊歴(下)-古典の小径146- 加藤定彦 ・ 外村展子      
尾上柴舟のうた 243       上田勝博  澤田久美子 山本光珠  
内面客観の道をたずねて 136   小巻由佳子 高本澄江 宮﨑孝司  近藤史郎
                  豊田敬子  森ひなこ  勝地健一  佐藤静子 
【異文化essay】38 Japon(ハポン)さん    田中淳子 
佳品嘆美*153〈万葉集〉〈紀貫之〉 山本光珠  近藤史郎

作品評   大垰敦子  吉田ヒロミ 月原芳子  大瀨 宏  水野康幸  岡田寿子  
書評    岡田寿子  新井邦子
作品抄出  弘野礼子  柴村千織  井原弘美  菅 篁子                   
再録  真樹の曙―旧号抄録 168
    真樹のうたびと 山本康夫 / 大谷多香子 
    他誌抄録 116
記   真樹サロン短歌会記 107 新井邦子       
    私の一首          滝沢韶一
    後記
ご案内 -2021年6月-
真樹サロン
   日時 6月27日(日)10時~ 協力          
                13~15時 歌会
   会場 真樹社                
   会費 500円(10時来会者は不要)
   出詠 1首を担当者上田勝博へ(SMS可)
   締切 6月15日


山本康夫の歌
学生ら辻に売りゐしそこばくの品片づくる雨となる街
しのびやかにタンゴ洩れゐる窓の外歩みとどめて立つ暗き中
荒む世を潤すごとくバスガール発車合図す涼しき声に
働きてをとめはやさしバスの中鏡を出して顔見ることも
片手なき君もたつきを立つるとてもまれつつゆく人込の中
不自由の身を追ひ立てて働けるきみにしばらく痛むわが胸

                    『朝心抄』(昭和二十三年刊)

20首抄(2021年5月号より抄出)
仏壇の瓔珞(ようらく)壊れ畏(かしこ)みて師走の町に仏具店訪(と)う   宮崎 孝司
修道院の暮らしも難く老人ホームに三とせを世話になり妹は      守光 則子
イギリスのWEDGWOOD(ウエッジウッド)のブランドの薄きBLUE
は春の西空                            山本 真珠
馬立(うまたて)の川沿いに険し参勤道 土佐武士(もののふ)の外様の誇り  吉田 征子
籠もり居のわれの怠惰を呼び覚ますつぶてのような友の便りよ     米田 勝恵
初孫の命名なして逝きし夫嫁ぎゆく日に思い馳(は)せしや       有本 幸子
時じくの春雪降れり五階なる病室のベランダを訪(と)い来雪の子    石井恵美子
夕烏地に預くるかものの骨草に忍ばせ草かけて発(た)つ        上田 勝博
わが内に在(ま)すとう鬼は数匹か「鬼滅の刃」を読み終えて思う    大越由美子
冬の夜の手花火見たり降る雪をまとい嵯峨菊うつろに咲けり      勝地 健一
肌のうちにあふるる太陽あるごとく黒人メンバーかがよい走る     近藤 史郎
雪垂りを待つはヒヨドリ南天の赤き実のぞくその一瞬を        澤田久美子
凍る夜にふとよみがえる手の温(ぬく)み記憶の底の君に驚く       柴村 千織
庭の辺のメダカの宿の薄ら氷(ひ)を解かして春へと光ひとすじ      鈴木 敬子
できること一つずつ減る中にてもまだ力ある少しをよろこぶ      隅出志乃惠
散歩する道辺に梅の芽があまた ほのかなぬくみもらいて進む     高見 俊和
畑すみに霜焼け色の葉を広げタンポポは今春へ助走す         高本 澄江
冬枯れの少しく遠き野の道を亡夫の墓へと日はやわらかく       津田 育恵
はや春の陽気をのせて澄みわたる罪なき青空こころを染むる      富田美稚子
イルミネイトの色寒々しきその窓の内の明かきに円(まど)居思わる   福光 譲二