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2020/02/01

2020年(令和2年)2月号

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題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
 2020年(令和2年2月号)
☆研究  □北村季吟展の桃青―風蘿坊から風羅坊へ―  
-古典の小径131― ....加藤定彦、外村展子
□尾上柴舟のうた227         ‥‥岡田寿子 近藤史郎 山本光珠  
□内面客観の道をたずねて120  ‥‥小巻由佳子 大垰敦子 高本澄江 宮﨑孝司          福光譲二 野坂昭雄 吉田ヒロミ 上田勝博                     
□近現代歌人の一首【土屋文明】   ‥‥澤田久美子
□【異文化essay】28 Scotland     ‥‥田中淳子 
□佳品嘆美*137〈万葉集〉〈斎藤茂吉〉 ‥‥山本光珠 大瀨宏
☆作品評
☆再録  □真樹の曙―旧号抄録152-
      □他誌抄録100
☆記   □真樹サロン短歌会記     ...中村カヨ子       
      □後記
 
山本康夫の歌―2020年(令和2年)2月号
うつつには面わ忘れてある君を夢にあらはにわが見たりけり
音もなくただおぼろげのわが部屋に君はさびしく坐りゐにけり
夢に逢ひて奇しき君とし思はねば心のかぎりいとしまざりし
夢にあひて今消えゆきし君がかげまたも追はむと目をつぶりたり
いまの夢に逢ひたる君を追はむとて眠らむとすれば目にさえくるも
『真清水』(昭和6年刊)-夢

2020年2月号「前号20首抄」
      20首抄(2020年1月号より抄出)
わたしには何もできぬと胸内に悲痛に叫ぶわが声あわれ        隅出志乃惠
ペダル踏む道辺の田んぼ案山子四騎(よんき)一列にとうせんぼして   高見 俊和
からたちの葉を柚子坊は食いあらす棘(とげ)もつ樹(き)とて脅威はありぬ 龍野日那子
爪切りて我が分身の捨てどころ昔はものを思わざりしか        月原 芳子
病状をどこまで説明せんものかいつも迷えり人に会うとき       豊田 敬子
暖(だん)のため冷(れい)のためだと熱求め地球をまっ赤な炭団(たどん)に変える 西本光仁
人の波にもまれ九段坂のぼりくれば献燈(とう)あかあかと皆を待ちいる  延近 道江
オキナワの海にジュゴンはもういない消えゆく藻場と一蓮の果て    福光 譲二
夫とおりささいな言葉に傷つきてふとした言葉にまた救わるる     松尾 美鈴
ふくしまの二十世紀を手に翳(かざ)す かたじけなしや天然果実     森 ひなこ
一片の雲なく晴れて天高し今日はわが家の稲を刈る日ぞ        守光 則子
モロー展雑なるタッチと思いつつ離れて見れば浮かぶ真実       森重 菊江
一粒の種になるかと本送る一冊は遠く一冊は里へ           吉山 法子
たそがれに摘む白百合よ胸ゆらすニニ・ロッソ彼(か)の音色思いぬ    新井 邦子
色街の名残(なごり)はとうにあらずして線路の端(はた)に燃ゆるカンナよ 上脇立哉
おやみなく降りし雨止(や)みて薄日さす宮殿の上(え)に七色の虹     宇田 文子
うれいごとと慶(よろこ)び続きわれ子として母として濃い時を過ごせり  榎並 幸子
友逝きし祥月命日近づけばえんどう豆のまき時となる         岡畑 文香
謙虚さをかなぐり捨てて踊り出す見てゐるうちに人が代は変はりて  廣本 貢一 
真実を詠まんとするもためらいの心の湧きて虚構に遊ぶ        近藤 松子