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2018/07/21

2018年(平成30年)8月号

    2018年8月号表紙001_convert_20180721194049 
700ピクセル  ☆研究  □「恋」を「こひ」と書くこと-古典の小径114ー  ‥‥外村 展子 44
  ☆作品評
  ☆再録  □他誌抄録-82-       ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 53
  ☆記   □真樹サロン短歌会記    ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥笹田四茂枝 61‣63
       □後記             
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 68
2018/07/18

2018年8月号「前号20首抄」

 20首抄(2018年7月号より抄出)ー

   うららかな弥生の空の鶯の声に天なる母を感ぜり             中尾 廸子
 春うらら島に隠るる犯人と千二百人の警察官と              中元芙美子
 雨にぬるる紫陽花の濃き紫の目にしむ今朝の冷たき風よ          難波 雪枝
 春たちて嵐吹きあれ草木みな潤(うる)う命の芽ぞ張りにける        日野 幸吉
 気高くもかわゆき小由女人形の花はこまかき筆に成りたり         平本 律枝
 花祭りにぎわえるらし農繁期われは鍬(くわ)もて春愁をはらう       廣田 怜子
 これまさに「鬼手仏心」と心しむ緑風のなか歩いておりぬ         古澤 和子
 日と月と向かい合う間の大木は数多(あまた)の鳥の夢乗せ暮れつ      松尾 郁子
 雪の道わが足跡を残しゆく音さくさくとしじまを揺らす          村上 山治
 あのドームに誓ひし言葉忘れゆき憧れて見るセントエルモの火       森 ひなこ
 慈しみわれを育てし家族あり短歌詠むたびなつかしさ湧く         森  光枝
 ひかれゆく若者の恐ろしき表情よおのが心が刻みしものか         吉田ヒロミ
 筆太の兜太の大書「許さない」遺墨となりて夏を迎える          油野はつ枝
 金鳳花その身の毒を知るやいなや道行く人に愛敬(きょう)ふりまく     岡畑 文香
 風強まり木(こ)の葉裏見せ表見す裏見する風しずまりてほし        喜多 敏子
 花壇見るひまなくおればこぼれ種の千鳥草はも青強く咲く         幸本 信子
 河出書房「定價六拾圓」蕗のとうの装丁あせず啄木歌集          後藤 祝江
 病む足にもかなう天気と街中の小さき園に独りの花見           小巻由佳子
 自然石の粗き面(おもて)に刻みたる「天離(さか)る」の歌柴舟の筆     近藤 史郎
 しまいいし亡夫の時計のねじ巻くも共有の時永遠(とわ)にもどらず     近藤 松子
 
2018/07/18

山本康夫の歌ー2018年(平成30年)8月号ー

   『麗雲』(昭和22年刊) ー真澄8月6日の原子爆弾に罹災す(昭和20年作)ー

       
その声は真澄ならずやよくもよくもかかる深傷(ふかで)の体運び来し
     父母に一目逢はむの念のみに帰りしといふか子よ強かりし
       治療所へ急ぎ運ぶと吾子のせて妻とわが持つ戸板かなしも

     死を早む水とし聞けど欲り欲りて子が苦しめば水あたへつも
             お浄土にゆくとしいひて安らけき吾子なりしまさしく浄土はあらむ
     わが掌(て)おく額の温み冷え果てぬ吾子よ吾子よすでに命絶えたり
     手をとりて慰められし葬(はふ)り路をけふは汝が骸送りてぞ来ぬ



2018/07/05

2018年(平成30年)7月号

        2018年7月号001_convert_20180705121756
  ☆研究  □冷泉家中興の祖-古典の小径113ー  ‥‥外村展子
       □尾上柴舟のうた      ‥‥澤田久美子 中村武 山本光珠 
       □内面客観の道をたずねて  ‥‥滝沢韶一 小巻由佳子 高本澄江 宮﨑孝司
                       ‥‥新井邦子 廣本貢一 上脇立哉 山次隆晴
       □近現代歌人の一首【近藤芳美】     ‥‥近藤史郎
       □【異文化essay】45ピンクのイメージは?‥‥田中淳子
       □佳品嘆美〈万葉集〉〈岩田 正〉  ‥‥山本光珠 森ひなこ
  ☆作品評
  ☆再録  □真樹の曙ー旧号抄録
       □他誌抄録
       □ほか
  ☆書評  □萩岡良博歌集『周老王』
       □水野康幸歌文集『余光』
       □天瀬裕康歌集『時は流れ往けど』
  ☆記   □青嵐忌歌会記に寄せて
       □各賞の「過去の受賞者」について
       □真樹賞・真樹奨励賞・康夫賞・年度賞要項
       □後記  

2018/07/04

2018年7月号「前号20首抄」

       ー20首抄(2018年6月号より抄出)ー

 病む者は病院にいて春は来ぬ親は静かに天国にあり             佐々木孫一
 いますならあれもこれもと思われて父逝きし日の桜仰ぎぬ          鈴木 敬子
 晩冬の鬼灯色の夕焼けは人恋しさの引きがねとなる             時村 真紀
 春なのに日々病室にいる我は夫(つま)の気苦労おもい涙す          富田美稚子
 氷上に繰り広げらるる競技見て声出す顔出す愛国心はも           中村カヨ子
 落書きを連ねて心底をつき真夜中の灯をともしてみたり           鍋谷 朝子
 桃の木の整枝究めて刃の秀(ち)びしはさみを布にくるみて捨てず       藤田 久美
 生(あ)れし日の己をしらぬわれなれば不幸も夢のひとかけらとなる      北條多美枝
 北は笑み昨日の敵を今日許し赤の鍬(くわ)振り穴を掘るなり         松井嘉壽子
 親切の押し売りいらぬ施設にて老人たちはあまりしゃべらず         的場いく子
 春うらら花見をよそに出稽古ある今日の色決むルージュは淡く        水田ヨシコ
 ノスタルジー花冷えの空に放ちつつ三江線に過ぎし日たどる         米田 勝恵
 うすき眉書きたす朝の窓の外(と)に今年の桜はや散り始む          宇田 文子
 次々と春の日あびてビオラ咲く柴の子犬の顔にも似たり           榎並 幸子
 箒(ほうき)持つ魔女の領する氷上をストーンは走る「チャーム」によりて   大瀬 宏
 三江線の江の川沿いに神楽舞継がれて八十(やそ)神、恵比須と伝う      折口 幸子
 まさぐればまさぐるほどにのめり込む歌とう沼にきょうもとっぷり      勝俣 孝治
 夕せまる暗緑深き河底に愛執の鎖しずめんとして              金丸 洋子
 maintenance(メンテナンス)と軽くかたづけ言う人よ波は襲いぬ人権無視の  木村 浩子
 オレンジの明かりまたたくシーサイド海は夕なぎ金銀の波          小畑 宣之
2018/07/04

山本康夫の歌ー2018年(平成30年)7月号ー

       『麗雲』(昭和22年刊) ー悪夢(昭和16年作)ー

          あさましき夢を見しかもうつそみの汗かきて一途にわが闘ひき
     夢ぬちのわれの裸形がかかりくるものかかりくるもの皆ねぢ伏せき
     暴れゐていぶかしみけりこの夢は地獄絵相にまさに通ふと
     うつつには譲歩をのみわれのねぎ来しが夢ぬちにして暴れまくりぬ
     み仏をたのむわれにして夢ぬちは阿修羅の心なほ燃えさかる
     あからひく昼を思へばよべの夢荒唐無稽にしてまとまりがたし