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2019/05/06

2019年5月号「前号20首抄」

   20首抄(2019年4月号より抄出)ー    

  
暖冬の安き甘藍捨てきれず屑(くず)にはせぬと急ぎ採りたり             堀部みどり
      朝集う我ら仲間は厚着して冬毛となれる柴犬を撫()ず               村上 山治
  内面を客観せんをさえぎりて内なる弁護士すぐに旗ふる                 吉田ヒロミ
  献体に供して内臓の無き吾()子を抱きて明かしき通夜の夜を            米田 勝恵
  シクラメン賜()びし友突と入院す花色見てはその上()を案ず             脇家登美子
  手に入りて卓の上なる他人顔バルサミコその謎の漆黒                 新井 邦子
  垂(しだ)れ梅枝を丸めて駕籠(かご)のごとゆるる枝の間に佐保姫御座(おわ)す 有本 保文
  爪をとぎ心をすまし思い描き一音にこめ弦を奏でる              上田 勝博
  暗闇に灯(ともしび)浮かび友いずこ五十二階の空中すみか           榎並 幸子
  古希すぎて生きいる証しを誌上にてつづることのみ生きがいとせん       岡田 節子
  リモコンの「風量切替」おしたれば音なき部屋は少し喜ぶ           喜多 敏子
  手術後に福山雅治の夢を見る夢にも思わぬ人の夢とは             後藤 祝江
  岩陰に緋鯉二匹いる冬の川夏の洪水よくも耐えたり              小畑  宣之
  介護士を目指すと通いいし肖さん姿見えぬを誰も語らず            小巻由佳子
  短歌書く冬の頃にはなぜかしら母が若くて父も同じき             佐々木孫一
  ゴムまりの弾むがごとくきびきびと君は笑みつつ人に尽くせる         柴地 暁子
  豪雨にて流されし墓所ようように再建なるを見届けにゆく           竹添田美子
  伝統の真樹の冠 重くして総身に走る雷(いかずち)の声            月原 芳子
  弟は病に負けず仏像が完成間近と心残すか                      難波 雪枝
  我が生(せい)は唯一無二の生ゆえに歌えはしない人工知能に            西本 光仁
2019/05/06

山本康夫の歌ー2019年(令和元年)5月号

  『まきのや抄』(昭和51年刊) ー長崎 (昭和50年作)

     
原爆に焼け残りたる一つもて鳴らす聖堂のアンジェラスの鐘
     君在りし日に送りたるわが書幅如己堂に見る二十五年経て      故永井隆博士に
     長崎と広島にありて叫ばんと誓いきわれはこの縁にして         如己堂
     賜わりし如己堂の湯呑使い古り二十余年をわれは生き来ぬ
     壮麗なる浦上天主堂見上げつつ如己堂館長の君に従う
     如己堂にも聖堂にも花々咲き満つる季(とき)を来合いぬ今日五月尽
     原爆の酷さを告げて石造の足なしマリア一つ目マリア
2019/03/31

2019年(平成31年)4月号

  真樹2019・4表紙 
  
☆研究   □夕霧の手紙Ⅱー古典の小径121-             ‥‥加藤定彦・外村展子        
      □尾上柴舟のうた217        ‥‥
近藤史郎 岡田寿子 山本光珠 
      □内面客観の道をたずねて110  ‥‥大垰敦子 日野幸吉 
高本澄江 中村 武
                            福光譲二  野坂昭雄 吉田ヒロミ 金丸洋子
      □近現代歌人の一首【島木赤彦】        ‥‥澤田久美子
      □【短歌時評】18 「原発を詠む」について  ‥‥森ひなこ
      
佳品嘆美127〈万葉集〉〈伊藤一彦〉    ‥‥山本光珠 新井邦子
 ☆作品評
 ☆書評  
喜多隆子歌集『柿の消えた空』       ‥‥澤田久美子
      
福岡勢子歌集『風の音 水の音』      ‥‥岡田寿子
      
水上深保子歌集『紅雀』          ‥‥新井邦子
 ☆再録  
真樹の曙ー旧号抄録142ー
      
他誌抄録90
 ☆記   
真樹サロン短歌会記            ‥‥永井妙子
      
後記
2019/03/31

ご案内 ー2019年4月ー

          真樹サロン
            日時 4月28日(日)10時~    協力
                          13時~15時 短歌会
                会費 500円(10時からの来会者は不要)
            出詠 1首を担当者 中村 武まで
            締切 4月15日     

                        (会場は真樹社)
2019/03/31

2019年4月号「前号20首抄」

   20首抄(2019年3月号より抄出)ー    

  匂いごと胸に抱えて古書店のお暗きレジの前に立ちけり          長嶋 彰子
  壁にはう蔦かずら紅(あか)く色づきて無住の家を秋に染め上ぐ       延近 道江
  くれないの葉先かわいてカラカラと冬のプロローグ坂のぼり来る        北條多美枝
  紫木蓮一夜のうちに葉を落とし庭より師走ついたちとなる         松井嘉壽子
  良寛は七十四まで生きしやなど思いて遊ぶ愚直の子らと          的場いく子
  柿の実のえもいわぬその柿の色照りかがやけりテーブルの上に       矢追 房子
  道端で片方だけの手袋が対を探さんと北風に乗る             井原 弘美
  うたかたの夢物語みてましたわが家に帰り感謝の香たく          岩本 淑子
  荒れ野には黄巾賊(こうきんぞく)が立つごとく泡立草の大群の波      上脇 立哉
  ドライブの伴(とも)が母われかと思()えど小春日の安芸の小京都よし   大越由美子
  猫ひとつ鳴かぬ夜の闇恋い猫の春も許さぬ人の無情よ          大瀬  宏
  閉ざされた母校は粋に自治の場と建て替えられぬ和みに行かん      岡畑 文香
  両の手で二つに林檎わりし日のベクトルは今いずこに向かう       勝地 健一
  母植えしろう梅の香の漂いて独りの淡き我が新春賦           金丸 洋子
  がん細胞小さくなると言うに吾()はよろこべないもうひとりの吾のいる 後藤 祝江
  冬の夜の闇よりもなお冥(くら)きなり耳削()ぐ自画像の吾()を見る眼 近藤 史郎
  ウリ坊よキミ棲()む山の麓(ふもと)より紅葉の錦いま燃えたつぞ    笹田四茂枝
  軽トラを田に横付けてもみ燃やす脇で坊やが水を得た魚(うお)        高見 俊和
  灰色の空に響ける虎落笛(もがりぶえ)(おの)が心の惑い慰む      田中 淳子
  バラの香のあふるる中に夫といて茶を飲む日々を幸とや言わん       豊田 敬子

2019/02/25

2019年(平成31年)3月号

        表紙2019・3_convert  
☆研究   □艶本『袋法師絵詞』ー古典の小径120ー           ‥‥外村展子
      □尾上柴舟のうた 216     ‥‥
澤田久美子 中村 武 山本光珠 
      □内面客観の道をたずねて109  ‥‥石井恵美子 柳原孝子 村上山治 
宮﨑孝司 
                            新井邦子  廣本貢一 上脇立哉 吉田征子
      □近現代歌人の一首【宮 柊二】            ‥‥近藤史郎
      □【異文化essay】20 身体表現
              ‥‥田中淳子
      □佳品嘆美 126〈万葉集〉〈松村正直〉        ‥‥山本光珠  森 ひなこ
☆作品評
☆再録  □真樹の曙ー旧号抄録141ー
     □他誌抄録 89
☆記   □新年短歌大会記・バスツアー記      ‥‥宮﨑孝司 上田勝博 近藤史郎
     □真樹サロン短歌会記           ‥‥田中淳子
     □ESSAIS 後藤祝江氏の一首        ‥‥勝地健一
 

     □後記


2019/02/25

ご案内 ー2019年3月ー

          真樹サロン
            日時 3月24日(日)10時~    協力
                          13時~15時 短歌会
                会費 500円(10時からの来会者は不要)
            出詠 1首を担当者 笹田四茂枝 まで
            締切 3月15日     

                        (会場は真樹社)
2019/02/25

2019年3月号「前号20首抄」

   20首抄(2019年2月号より抄出)ー    
    
  敗色濃き戦況に民満載され船倉深く命をつなぐ               滝沢 韶一
  枯れすすき晩秋の風にふれ合いて「えびの高原」蒔(まき)絵のごとし   月原 芳子
  霜月尽千両の黄の増し増すにあとわずかなる今年と思う           富田美稚子
  教会に大きなリース飾られて師走の風が見届けに来る          中元芙美子
  遠地の友伴いきたる宮島に雨にぬれつつ鹿は寄りきぬ          難波 雪枝
  未完成の絵を観()るごとくマティス観るじっと観るんだ完成するまで  西本 光仁
  いつしらずカレンダー残り一枚とわかりいてまた聞けばおどろく     廣畑佐か江
  死ぬまでを狭き生け簀()でストレスと戦うハマチと知りながら買う   福光 譲二
  深霜の朝日にとけて玉の露一葉一葉にやどり光れり           松尾 美鈴
  つとめ終え紅葉したる桜木は幹艶やかに冬に入りゆく            村上 山治
  大詔奉戴日と呼ばれけり大戦の始まりし日ぞ七十七年前         守光 則子
  クリスマス・キャロルを歌い終わるころ東(ひんがし)の空白み初めしか  柳原 孝子
  羽織はかまの女先生のオルガンに和して歌いき天長節を         米田 勝恵
  外来種セイタカアワダチサウの黄の枯れて空には青の深まる       和田 紀元
  ぐわぐわと獣のごとき声あげて群烏は庭の柿の実あさる         有本 幸子
  初春の潔き空に背を押され未知なる世界の扉をたたく          井原 弘美
  人波に両手(もろて)をあげて撮らんとす福笹を売る舞妓()の笑みを   宇田 文子
  ひゅうひゅうと風雪を巻き余すなく見するは穂高の雪の鋭鋒       金丸 洋子
  川は流れ映れるビルの灯も揺れて秋の日暮れは駆け足でくる       小畑 宣之
  真白なる封書を投函(かん)せし朝(あした)ふり向けばはや町は冬なり   澤田久美子