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2021/11/01

2021(令和3年)11月号

03110203_(2)11月号表紙_convert_20211101200748
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
03110201_(2)11月号裏表紙_convert_20211101201409

山本康夫の歌
火焔山人住むをこばみ風塵のなかの遺跡の種族らいずこ
風砂すさぶ莫高窟の奥深く限りなし仏教文化の遺跡
莫高窟の仏教聖地に書き遺す人の悲しき貌に魅かるる
地下深く整然と並ぶ俑群の表情なべ昏き何故
凶作のつづくを怒り切りしとか首なし石像果てしもあらず

      『山本康夫全歌集』(昭和六十三年刊)──天山・ゴビ幻想(テレビに見て) 

20首抄(2021年10月号より抄出)                                 
ばあばあーと幼き我の泣きさけびやまびこ聞こえし爺爺岳(ちゃちゃだけ)の裾   永井 妙子
この夏はバケーションの響き消え静かなお店で筆記具選び      西本 光仁
コロナ禍も灼 (しゃく)熱の季もものともせずオリンピックの開催決まる  平本 律枝
ホームにて不意にもらったストレスが五体をめぐりメガネがくもり来   松井嘉壽子
信じたる信じたる人の行いに辛き日すぐる憎みもできず         松尾 美鈴
土葬にて葬(はぶ)りたりける墓に見し桔梗の花に祖母の笑み見ゆ     宮﨑 孝司
「海の日」や「山の日」よりも「平和の日」をヒロシマ、ナガサキの原爆の日を 守光 則子
ドローンの光にかがやく地球生(あ)る東京五輪の始まる夜を       柳原 孝子
東京五輪 競泳ののちのテレビには父島の海の魚も泳ぐ         山本 真珠
東(ひんがし)へ南へ部屋をかえ夏は北の角部屋われを迎うる       山本 全子
見事なる真夏の桜を咲かせたりスノーボードの横住さくら        米田 勝恵
孵(かえ)さんと身じろぎもせぬ鳥の目に映る果てなき空と海原      上田 勝博
アンコールワットの朝日を見るために午前四時世界中から集う      宇吹 哲夫
寛解と医者に告げられ笑む夫に我の体の鉛とけゆく           榎並 幸子
オリンピック反対論多かりしかど活躍を見て広く湧きいん        大越由美子
冒頭のわずか五分のピクトグラム言語をこえて希望を繋(つな)      大垰 敦子
降り続く雨の音するひまひまに裏山よりをせみ鳴く声す         金尾 桂子
鞆の浦さよりは列なし潮風に身を遊ばすよ日がな一日          佐藤 静子



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