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2020/09/29

2020(令和2年)10月号

10月号表紙_convert_20200929212500
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏

山本康夫の歌
水煙は塔の上よりおろされて天女乱舞の像見極むる
まなじりの切れ細くしてなよやかにみ手に珠もつ吉祥天女
この絵図を幾年われの見欲りけり袖引き立たす吉祥天女
はづみくる息は堪へつついにしへの仏足石に眼(め)をよせゐたり

              『槙の実』(昭和二十八年刊)―「薬師寺」(昭和二十五年作)

 20首抄(2020年9月号より抄出)                                  
セザンヌが飽かず魅せられし妖 ((あや)しさは夏の朝焼け白い山肌    佐藤 静子
青やかな衣一枚身にまといあのうぐいすのうたを聞きたし        鈴木 敬子
一時間ペダル踏みきたる境内は桜満開来てよかりけり           高見 俊和
わが庭の山椒の新芽食べつくし華やかに飛ぶ初夏の揚げ羽は        豊田 敬子
真っ白な塩載する島はその重み耐うや古里のその三つ子島         中元芙美子
あたたかき風吹きおれば戸を開けて風の道得て中で本よむ         延近 道江
ほおづえつくカフェの窓辺にアンブレラ右に左に白ゆく赤ゆく       畠山 清子
ちそをもみ赤く染まれる手をふきて古きメモ書きまた参照す        廣田 怜子
畑すべて猪よけの網の中暮らしの不自由一つ増えたり           松尾 美鈴
コロナ禍に籠りてブーゲンビリヤをと絵皿に試す花びらの色        水田ヨシコ
気がつけばこの世は山と谷あるか谷深むほど澄みし水湧く         森 ひなこ 
夢の断片つなぎてゆけば恐ろしきマザーグースの詩のごとくなる    森重 菊江
キジバトの縁側近く寄りくるにその目するどしジュラ紀をひそむ      新井 邦子
夕暮れに花好きの友の家に寄り山あじさいの可憐さをみる         岩本 淑子
終活を進める端からふつふつと物欲わいてバーゲンへ駆る         大越由美子
水槽に鉛筆魚(ペンシルフィッシュ)は斜めなり天を仰ぎて何を恋いる     大瀬  宏
ウイルスが猛威をふるい子と子との経済格差またも広がる         岡田 寿子
うず高く柿もみかんもあふれんばかり輝きてあり店員せわし        川口 浩子
戦いに死にたる人も生き抜いて国を造りし人も尊し            小畑 宣之
きさらぎゆ弥生へうつる夜の闇に息あつく鳴くきじばとの声        近藤 史郎
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