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2020/05/30

2020年(令和2年)6月号

02052601真樹6月号表紙_convert_20200530111644
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏

20首抄(2020年5月号より抄出)
墨色のよきを覚えて筆運ぶ集中続く朝光(かげ)の窓           水田ヨシコ 
四十雀の影の消えたる巣をみれば体毛と苔(こけ)のゆりかごにして    新井 邦子 
命終に思いおのずと及ぶときひとりの人のまなざしかえる       有本 幸子 
まろやかな香りのワインを含みつつ遠き人思い夜の更けゆく      岩本 淑子
大炉にて亭主の点前進む中そこはかとなく「瑞雲」香る        宇田 文子
夫はその母と同じき病なり胎内被曝の苦しみの道           榎並 幸子
薬害でナースに近き部屋となる夫の様子をそっと覗(のぞ)きぬ      岡田 節子
裏庭のラッパ水仙咲きさかり探し物の日ひとり芝居めく        折口 幸子
寒昴(すばる)傾斜の尽きてわが思う母の浄土も凍りてあらん       近藤 史郎
闘病の長きを数えこよいまた院の壁見て人生耐えん          佐々木孫一
「ぐらしか」とおくに訛(なま)りを重ねつつ『苦海浄土』よ哀切深し  滝沢 韶一
シンボルの朱(あけ)の鳥居は補修中鹿ももの憂げウイルス禍にて     竹添田美子
空曇り舞い散る小雪にメキシコ人声あげて日本の冬を愛(め)でたり    田中 淳子
この春の時世を照らす玉響(たまゆら)の薄紅いろよ花明かりなり     出木 麗珠
青空にぐんぐん伸びし飛行雲を受験生の孫素早く写す         豊田 敬子
長々と達磨(だるま)大使に祈りいる友の胸ぬちしみて思おゆ       中村カヨ子
平成が令和にかわりしその年に夫は令和を知らず逝きけり       難波 雪枝
ぐつぐつと煮立ったあとの上澄みはとりてさやかな言葉を選ばん    西本 光仁
遠目にもあれよあれよとふたもとの梅の咲きゆく紅が映ゆ       廣田 怜子
目を細め紫煙の向こうに乗り出してとつとつと語る君がいたりき    古澤 和子


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