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2020/05/30

2020年(令和2年)6月号

02052601真樹6月号表紙_convert_20200530111644
題字 尾上柴舟 表紙 大瀨 宏
6月号 表2_convert_20200725160809

2020年(令和2年6月号)
☆研究 □今ハ遊ブ極楽界ノ中ノ風ニ-古典の小径135―  …外村展子
□尾上柴舟のうた231               …福光譲二 澤田久美子 山本光珠  
□内面客観の道をたずねて124          …石井恵美子 柳原孝子 小巻由佳子 高本澄江
                             西本光仁 野坂昭雄  吉田ヒロミ 上田勝博                 
□近現代歌人の一首【上村典子】         … 近藤史郎
□【異文化essay】30 infection(感染症)   …田中淳子
□佳品嘆美*141〈万葉集〉〈窪田空穂〉       …山本光珠 吉田征子
☆作品評
  
☆再録 □真樹の曙―旧号抄録156(1)(2)
    □山本康夫ノートより……        表見返し
    □真樹のうたびと  山本康夫 廣兼伸樹 表見返し
    ◇他誌抄録― 104
☆記  真樹サロン短歌会記95            …岡田寿子
    合同歌集第九集「律動」より
    後記
ご案内- 2020年6月—
  真樹サロン
   日時 6月28日(日)10時~  協力
             13時~15時 短歌会
   会費 500円(10時来会者は不要)
   出詠 1首を担当者 福光譲二まで(SMS可)
   締切 6月15日


山本康夫の歌――2020年(令和2年)6月号
戦争の世も飢餓の世も越えて来ぬ無残はわれの歌に証して
生きいること身にしみて思う日頃なり苦難の極み越えて幾年
血を血もて洗う世界のさま知ればわれらが平和われら死守せん
戦争に身体酷使して還りたる友らつぎつぎに病みて死ににき

 『山本康夫全歌集』(昭和六十三年刊)――劫火を越えて(昭和五十五年作)

20首抄(2020年5月号より抄出)
墨色のよきを覚えて筆運ぶ集中続く朝光(かげ)の窓           水田ヨシコ 
四十雀の影の消えたる巣をみれば体毛と苔(こけ)のゆりかごにして    新井 邦子 
命終に思いおのずと及ぶときひとりの人のまなざしかえる       有本 幸子 
まろやかな香りのワインを含みつつ遠き人思い夜の更けゆく      岩本 淑子
大炉にて亭主の点前進む中そこはかとなく「瑞雲」香る        宇田 文子
夫はその母と同じき病なり胎内被曝の苦しみの道           榎並 幸子
薬害でナースに近き部屋となる夫の様子をそっと覗(のぞ)きぬ      岡田 節子
裏庭のラッパ水仙咲きさかり探し物の日ひとり芝居めく        折口 幸子
寒昴(すばる)傾斜の尽きてわが思う母の浄土も凍りてあらん       近藤 史郎
闘病の長きを数えこよいまた院の壁見て人生耐えん          佐々木孫一
「ぐらしか」とおくに訛(なま)りを重ねつつ『苦海浄土』よ哀切深し  滝沢 韶一
シンボルの朱(あけ)の鳥居は補修中鹿ももの憂げウイルス禍にて     竹添田美子
空曇り舞い散る小雪にメキシコ人声あげて日本の冬を愛(め)でたり    田中 淳子
この春の時世を照らす玉響(たまゆら)の薄紅いろよ花明かりなり     出木 麗珠
青空にぐんぐん伸びし飛行雲を受験生の孫素早く写す         豊田 敬子
長々と達磨(だるま)大使に祈りいる友の胸ぬちしみて思おゆ       中村カヨ子
平成が令和にかわりしその年に夫は令和を知らず逝きけり       難波 雪枝
ぐつぐつと煮立ったあとの上澄みはとりてさやかな言葉を選ばん    西本 光仁
遠目にもあれよあれよとふたもとの梅の咲きゆく紅が映ゆ       廣田 怜子
目を細め紫煙の向こうに乗り出してとつとつと語る君がいたりき    古澤 和子