FC2ブログ
2019/12/29

2020年(令和2年)1月号

     01122701_真樹R2.1月号表紙_convert_20200107114839
      題字 尾上柴舟  表紙 大瀬 宏    

2020年(令和2年1月号)
 創刊九十周年記念特集 
                             小序 山本 光珠
短歌とともに(記念随筆) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
米田 勝恵  滝沢 韶一  平本 律枝  柳原 孝子  田中 淳子  
守光 則子  
難波 雪枝  竹添田美子  大垰 敦子  吉澤 和子  高本 澄江  
村上 山治  
澤田久美子  月原 芳子  豊田 敬子  大瀬  宏  新井 邦子  
廣本 貢一  
上脇 立哉  岡田 寿子  吉山 法子  福光 譲二  西本 光仁  
吉田 征子  
吉田ヒロミ  鍋谷 朝子  野坂 昭雄  勝地 健一
『青樹林 真樹九十周年記念合同歌集』批評 ・・・・・・・・・・・・ 18
大瀬  宏  大垰 敦子  西本 光仁  福光 譲二  上脇 立哉  
高本 澄江  
山本 光珠  澤田久美子  隅出志乃惠  田中 淳子  吉田 法子  
米田 勝恵  
吉田ヒロミ  新井 邦子  廣本 貢一  近藤 史郎  滝沢 韶一  
石井恵美子  
承前八年史(平成二十三年~三十年) ・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
新井 邦子  森ひなこ  岡田 寿子  吉田 征子
九十周年記念短歌大会記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
吉田 ヒロミ  福光 譲二  石井恵美子
講演録  安田 純生氏「山本康夫の大阪詠」 ・・・・・・・・・・・・・・・ 50

☆研究  □俊成九十賀   -古典の小径130―  ....外村展子
□尾上柴舟のうた226        ‥‥宮﨑孝司 澤田久美子 山本光珠  
 □内面客観の道をたずねて119  ‥‥石井恵美子 柳原孝子 小巻由佳子 村上山治 廣本貢一 上脇立哉 吉田征子 勝地健一
     □近現代歌人の一首【前 登志夫 】     ‥‥近藤史郎
     □【異文化essay】27 W杯        ‥‥田中淳子 
     □佳品嘆美*136〈万葉集〉〈石川啄木〉   ‥‥山本光珠 村上山治
☆作品評

☆再録 □真樹の曙―旧号抄録151(1)(2)-
     □他誌抄録99
☆記   □真樹サロン短歌会記           ...吉田征子       
      □後記

ご案内 -2020年1月-
真樹サロン (会場は真樹社)
   日時  1月26日(日)10時~   協力
                 13~15時  短歌会
   会費 500円(10時からの来会者は不要)
   出詠 1首を担当者 福光譲二まで(SMS可)
   締切  1月15日

 


山本康夫の歌―2019年(令和元年)12月号
歌の道わが行かむ道命あるかぎりを行きて果て知らぬ道
歌の道はろけき極み知らねども一生(ひとよ)をかけてわが行きゆかむ
歌の道遠くひかりてつづきたりわがつつしみてゆくべかりけり
歌の道けはしきままに幾たびぞ深きなげきをわが返し来ぬ
『薫日』(昭和12年刊)-自序

2020年1月号
     20首抄(2019年12月号より抄出)
袋には宝石のごと葡萄満ち粒一つずつ果汁なまめく     勝地 健一 
地蔵堂にまどろむ猫を撫(な)でおれば風吹き渡る雲光る空  金尾 桂子
軒々に雀は見えず実る秋はるか稲田にたわむれいるか    木村久仁子
縁ありし人らにつたない文を書く別れの言の葉選びえらびて   後藤 祝江
歩き疲れ瞳あげれば相生橋原爆ドームに秋の日強し      小畑 宣之
寝つかれず窓をあければ人住まぬ闇の庭辺に虫のささやく   鈴木 敬子
かくまでも壊れに壊れわが心不安つのりてさまよい漂う    隅出志乃惠
泣くほどのことにあらじと苦笑いしつつ溶けゆくビスケットに泣く  高本澄江
共々に道の頂点究めんとせし自負心は生涯の糧        竹添田美子
十六夜(いざよい)の月に来し方思われて明日の舞台の不安払いぬ 田中淳子
何となくあれこれ思う秋の日を亡き母の上(え)に気づきあるなり 永井妙子
私には捨て難きものと知る夏に「平和希求号」ポストに届く   鍋谷朝子
他人さま迎えることを良しとせり他人の目にて掃除するなり  濱本たつえ
酒飲みをつれて帰るは母の仕事苦しくありけん人の目ありて  的場いく子
ギター弾く極楽トンボの我ありて新しきレンジで夫は料理す   森 光枝
スピンしてクレーンは過去を払うがに工場を次ぎて解体しゆく  山本全子
古希過ぎの身に今からも社会への貢献できる仕事はなきか   宇吹 哲夫
早起きし各停で来たる福山の「北斎展」になじみの絵と会う 大越由美子
現(うつ)し世に生(あ)れたる幸を確かめて守りてぐちをこぼさず行かん  大森 勝
2019/12/17

2019年(令和元年)12月号

01121108_convert_20191218122757.jpg
題字 尾上紫舟 表紙 大瀬宏
☆研究  □寛保の大水害と毛利氏 -古典の小径129― ....外村展子
□尾上柴舟のうた225          ‥‥近藤史郎 岡田寿子 山本光珠  
□内面客観の道をたずねて118      ‥‥大垰敦子 高本澄江 村上山治 宮﨑孝司
                          福光譲二 野坂昭雄 吉田ヒロミ 上田勝博
□近現代歌人の一首【蒔田さくら子】    ‥‥澤田久美子
□【異文化essay】26 banana(バナナ)   ‥‥田中淳子 
□佳品嘆美*135〈万葉集〉〈宮本君子〉  ‥‥山本光珠 森ひなこ
☆作品評

☆再録 □真樹の曙―旧号抄録150(1)(2)(3)-
     □他誌抄録98
☆記  □真樹サロン短歌会記           ...新井邦子  

ご案内 -2019年12月-
真樹サロン
日時 12月22日(日)10時~   協力
             13~15時  短歌会
   会費 500円(10時からの来会者は不要)
   出詠 1首を担当者 新井邦子まで(SMS可)
   締切 12月15日 

山本康夫の歌―2019年(令和元年)12月号
『樹の遠景』(昭和54年刊)-大津宮趾昭和50年作)
琵琶の湖展くる果てにさやかなり比良山頂の真白き暮雪
三井寺の観音堂より見放けおり琵琶湖の水のにぶき光りを
義仲寺の狭き境内めぐりゆく芭蕉一門の句碑ならぶなか
内面の平易直叙を貫きし芭蕉のこころ享けよわが歌
幻住庵の記が成りし跡は木々茂り古りたる大き石の五、六個


 2019年12月号「前号20首抄」
      20首抄(2019年11月号より抄出)
「五十代桓武」とあらく息つぎて称え続けし日のよみがえる    有本 幸子  
仏画なる彼岸と隔つる玻(は)璃ありて久しく見ざりし我が顏映る  上田勝博   
 久々に墓参に帰る車窓には小船行き交いて凪(な)ぐ明石の門(と)   宇田 文子
 八十になりても学ぶこと多く暮らしつつまた書く補充メモ     大津タカヱ
 見慣れない木々の葉っぱが庭中に濡れ落ち葉たり手作業となる    岡田 節子
 夏の午後冷えたるお茶の友として清(さや)けき音をさせるかきもち  川口 浩子
 夫あらばプランに精出す秋日和地図の上(え)にはや夫婦旅行す    木村久仁子
 朝霧の道にて会えば会釈して親しみ行けり個展五日目        木村 浩子
延命は硬く拒みて苦痛のみ避けてと願えばキイを打ち込む      後藤 祝江
温暖化現象なるや尾道の雁木いっぱい潮は満ち来る         小畑 宣之
本堂に人の気配はしおれども秘めやかして収録待つらし       小巻由佳子
日と水の戦うごとき困憊(ぱい)を盛夏の海の色に覚ゆる       近藤 史郎
雲ひとつなく今日の空青く澄む梅雨のことなど思わせもせず     近藤 松子
東海の荒波のごと夜を返す果てなく返す波のまにまに        佐々木孫一
忘却と風化を防ぐ戦(いくさ)なり原爆阻止の思いを継ぐは      下井  護
なじみなきアニメの世界こうまでも若者魅すと老いて知りたり    竹添田美子
吹き荒るる風は大樹を揺さぶりて音立て去りぬ姿は見せで      田中 淳子
幼年より姉と慕いし従姉はも励みきたれるピアノの音(ね)澄む    中谷美保子
胸底に熾火(おきび)のごとく燻(いぶ)る火をいまだ絶やせず人を恋うるか 中村カヨ子
麦畑黄金(こがね)に熟るる讃岐路は穂並み揺らして風吹きわたる   吉田 征子
2019/12/17

2019年(令和元年)11月号

    01121107_convert_20191218114114.jpg
     題字 尾上柴舟  表紙 大瀬 宏
☆研究  □『星づくり』と季吟の消息・懐紙 -古典の小径128― ....加藤定彦、外村展子
□尾上柴舟のうた224          ‥‥宮崎孝司 澤田久美子 山本光珠  
     □内面客観の道をたずねて117      ‥‥石井恵美子 柳原孝子 小巻由佳子 廣本貢一
                           上脇立哉 吉田征子 勝地健一 上田勝博
     □近現代歌人の一首【堀井美鶴】     ‥‥近藤史郎
     □【異文化assay】25 moon(月)    ‥‥田中淳子 
     □佳品嘆美134〈万葉集〉〈江戸 雪〉   ‥‥山本光珠 新井邦子
☆作品評

☆再録  □真樹の曙―旧号抄録149(1)(2)(3)-
     □他誌抄録97
☆記   □真樹サロン短歌会記           ...吉田征子       
     □後記

ご案内 -2019年11月-
真樹サロン
   日時 11月24日(日)10時~   協力
                 13~15時  短歌会
   会費 500円(10時からの来会者は不要)
   出詠 1首を担当者 新井邦子まで(SMS可)
   締切 11月15日


山本康夫の歌―2019年(令和元年)11月号
『樹の遠景』(昭和54年刊)-大津宮趾昭和50年作)
大津宮の跡かあらずか発掘の心礎の石の白く曝れいる
古墳なる石室の中に陶棺の半ば残りいて水をためいる
百穴と聞きて来たれる古墳群近江の古都をしのびめぐれり
石棺の中怪しみて目をこらす人骨などのあるはずなきを


2019年11月号「前号20首抄」  
 20首抄(2019年10月号より抄出)
片づけを「終活」という語意は我が心の辞書に記されておらず   山本 全子   
遠き世の行基の縁の山寺を守(も)らんと人ら花植え次ぎ来(く)      吉田 征子
吉備路にて耳を澄ませば聞こえくる千年越えて吹く風の音       井原 弘美
行田蓮池一面に咲けるその蓮のうてなに仏の幻影           宇田 文子
生涯を社会に貢献したという意識なくして終わるはさみし       宇吹 哲夫
汗の玉額に浮かべ盆花を野辺に採りいし母しのばるる         大津タカヱ
なじみたる窓越しの大木剪(せん)定され清(すが)しき風の通るを見たり 木村久仁子
沖縄の民意届かぬ世を嘆き友は逝きたりイジュの咲く日に       木村 浩子
早世の父のみ国に母もいま押し流されぬ歳月の潮           近藤 史郎
よく見れば都会のなかに村があり生きたる滝のくだれるごとく     佐々木孫一
日傘閉じ歩むたかむら孟宗は天を覆いてその果て展(ひら)かず      笹田四茂枝
つば広の帽子を求め備えしが一歩出(い)ずれば熱波にはばまる      柴地 暁子
家中で一か所だけを冷たくすおのずと寄りて話のはずむ        隅出志乃惠
限りなく夢のアニメを世に送り悩める人へ勇気与えし         竹添田美子
美智子さま分去(わかさ)れの歌詠みたまう誰しも思う片えはいずくに   中谷美保子
あしひきの山に焦がるるこの心身を痛むるも消ゆるものかは      日野 幸吉
夕食を早めに終えて畑には涼あり草と格闘始む            平本 律枝
洗面の鏡に笑い掛けたるは新星渋野に感化されてか          福光 譲二
今日の樹々(きぎ)ビロードのごと美(は)しく映ゆ令和の幕開く五月一日  古澤和子
医師団の四人とのその戦いについにし負けて命めされぬ        的場いく子
2019/12/17

2019年(令和元年)10月号

斜体文     01121106_convert_20191218120038.jpg
     題字 尾上柴舟 表紙 大瀬 宏

2019年(令和元年10月号)
☆研究  □大嘗祭の屏風歌・屏風絵 -古典の小径127―  ....外村展子
□尾上柴舟のうた223          ‥‥岡田寿子 近藤史郎 山本光珠  
□内面客観の道をたずねて116  ‥‥大垰敦子 宮﨑孝司 高本澄江 日野幸吉
             福光譲二 野坂昭雄 吉田ヒロミ 上脇立哉
     □近現代歌人の一首【中村憲吉】     ‥‥澤田久美子
     □【短歌時評】21 新時代の短歌の行方  ‥‥新井邦子 
     □佳品嘆美133〈万葉集〉〈岡野弘彦〉   ‥‥山本光珠 日野幸吉
☆作品評

☆再録  □真樹の曙―旧号抄録148(1)(2)-
     □他誌抄録96
☆記   □真樹サロン短歌会記           ...福光譲二       
     □後記
 
山本康夫の歌―2019年(令和元年)10月号

『槙の実』(昭和28年刊)-道後山(昭和25年作)
高原の空気すみ切る中天に月はのぼりぬ小(ち)さく凍りて
いが栗のかげもつばらに枝すきて今宵の月の中天にすむ
ひとひらの雲かげもなく青みわたる高原の空に高く月すむ
零下二度の月凍る夜を肩抱きおりたることををりをり思う
山の夜は露か時雨か夜をこめて木々の雫が垂るる音する

2019年10月号「前号20首抄」
   -20首抄(2019年9月号より抄出)-
庭に来て朝夕に鳴くウグイスの時に高きは恋の叫びか 松井嘉壽子
葉桜がわれの歩みをとどむるに従いてまた頬に風吹く 水田ヨシコ
ジャガいもの原産地とうアンデスの空思うなり芽吹くこの朝 宮﨑孝司
百合の花おし広げつつ葯(やく)を取る手術なれした外科医のやうに 森ひなこ
余生なりと思えば心さわぐこと聞かじすまじと壁つくるわれ 森重菊江
玉葱の根を切ると庭の隅に座を占めたるわれへ鶯の鳴く 守光則子
「令和」へと継がれし初めの一日を列島こぞりて湧くさま報ず 柳原孝子
日光の夏の旅人(たびと)の洗礼と<華厳(けごん)の滝>の飛沫(しぶき)浴びしか 山本真珠
非才なるわれが短歌に目覚むるを誘わせし師の好意うれしき 山本全子
石垣の小さき間のその奥に愛の巣あらんつがい出入りす 石井恵美子
平成とともに閉じたり郷愁濃きポン菓子を売る下迫商店 大越由美子
見聞の難くなりたるこの体時を気にせずいかに過ごすか 大森勝
父母の骨の行く末決めてのむ茶碗の中の明るき緑 岡田寿子
かみ合わぬ会話なれどもしっかりと語り継ぎたし昭和のできごと 川口幸子
巣のふちに子つばめあふれんばかりなり空舞う朝は青空であれ 金尾桂子
生い茂る吹上(ふきあげ)の森お暗くて奇(くす)し真白の蘭そこここに 川口浩子
すずらんの香る夕べの庭へ出(い)づ今書き上げし稿をたたみて 澤田久美子
溝掃除脇のダンプに鋤簾(じょれん)にて土砂積む人の顔美しき 高見俊和
刈りゆけばあざみの花も砕け散るえのころ草もばったと倒る 高本澄江
年を追いて萎えゆく我を留(とど)めんと浜茄子色のマニキュア塗りぬ 濱本たつえ