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2018/08/28

2018年(平成30年)9月号

            2018年9月号表紙縮小_convert_20180828125004
   ☆研究   □東京麻布「十番倶楽部」-古典の小径115ー  ‥‥外村展子
       □尾上柴舟のうた     ‥‥中村武  
澤田久美子 山本光珠 
       □内面客観の道をたずねて ‥‥滝沢韶一 小巻由佳子 柳原孝子 大垰敦子 
                        
宮﨑孝司 新井邦子  上脇立哉 金丸洋子
       □近現代歌人の一首【安永蕗子】         ‥‥近藤史郎
       □【異文化essay】16犬と猫            ‥‥田中淳子
       □佳品嘆美〈万葉集〉〈永井陽子〉      ‥‥山本光珠 森ひなこ
  ☆作品評
  ☆再録  □真樹の曙ー旧号抄録
       □他誌抄録
       □ほか
  ☆記   □真樹サロン短歌会記
       □ESSAIS 鴨長明の一首
       □後記

2018/08/28

2018年9月号「前号20首抄」

20首抄(2018年8月号より抄出)ー
 天そばを食してのちに汽笛鳴る少し昔の糸崎駅は             樋口  礎
 きのこ雲を見し夏来たり吟じたし世界へ届け原爆のうた          藤河賀久清
 ころんだり落ちたり滑ったりの者ばかり受験生には禁忌の病室       守光 則子
 亡き母と亡き妹がたずね来る夢におどろくうたたねの午後         山野井 香
 手を伸べば花の小枝に触れるかや魔のささぬうち列車よ出(い)でよ     吉山 法子
 満開の桜に丸き月かかりたれもふわりと羽衣まとう            新井 邦子
 就活に出(い)で行く孫を見送れるわが白髪を映すミラーは         有本 幸子
 津女津中共学となれば同窓よ兼英先生名簿に後輩             石井恵美子
 亡き夫が買いてくれにし夏帽子形崩れず三十三年             岩本 淑子
 燕らよ戻り来たれるこの国の空の匂いは去年のままか           上脇 立哉
 あまたなるおのが障害気にしても仕方なければ気楽さ求む         大森  勝
 赤き舌わずかにのぞかせ石楠花は風のぬくさを確かめている        岡田 寿子
 ちょっとしたほころびいつまで繕えぬまなじり上ぐる母の夢見る      川上  薫
 世の人の知り得ぬ努力積まれけん今わが前に光る名作           川口 浩子
 撩(れう)乱の色を鼓舞してチューリップ園に人らの笑顔が歩く       廣本 貢一
 けさ生(あ)れし蝶るりいろの羽ひそと楓の若き葉に息づけり        澤田久美子 
 見上ぐれば空旋回すきのうまで我が庭にいし鳩にあらずや         竹添田美子
 紅(あか)もみじのはざ間にみゆる雲の海見上ぐるわれに朝鳥の鳴く     龍野日那子
 ガラス戸に笹の葉ゆれるかげ映り午後の薄日にあらき風見ゆ        豊田 敬子
 山吹の花びらひとつ散れるを見ひとつ年ます春をば待ちぬ         永井 妙子
 
2018/08/27

山本康夫の歌ー2018年(平成30年)9月号ー

   『広島新象』(昭和34年刊) ー新秋(昭和32年作)ー

     さむらいの末と伝えて世にうとく貧しく峡の村に育ちぬ
     秋風に灯かげさえゆく夜を惜しむ愛の詩篇の頁とざして
     潮(うしお)のごと善意のこころ胸に満つかかる新秋の夜の刻を得つ
     生きてあらば大学を卒ゆるころかなどといいて直かりし子が性を恋う
     客少なき夜更けの電車灯の明く見回して親し目の合う時に
     枝刈りて明るくなりしいちじくの幹にその実のつぎてふくるる